図書館情報学とは

東京大学図書館情報学研究室へようこそ

図書館情報学とは何でしょう。

–司書養成の部門?

図書館学なら聞いたことがあるけど、どうして「情報」がついているの?

いろいろな疑問が湧いてくるでしょう。

本研究室は教育学研究科生涯学習基盤経営コースに置かれています。もとをたどると、1951年(昭和26年)に教育学部に図書館学講座が設置されたときに遡ることができます。戦後の教育改革の一環で文部省がこの講座を東京大学に置くために文学部に話しを持って行ったところ、教授会が「文学部というものは純粋に高遠な理論を研究する、研究の方便のためにする図書館学というものを入れる必要があるか」と言って否決したため、当時できたばかりの教育学部に置かれたと言われています。

この「研究の方便」という表現は50年前はネガティブなイメージだったのでしょう。しかし今ではこの分野を指すのにふさわしい積極的な評価といえるかもしれません。仏教で「方便」とは、衆生を教え導く巧みな手段、サンスクリットのウプカウアラヤ(善巧方便)からきたということであり、真実の教法に誘い入れるために仮に設けた教えの意味であると言われます。今や、この方便そのものが学問の対象になる時期がきたのです。

図書館情報学は知識や情報を獲得するプロセスを研究する分野となっています。図書館で使用している分類体系や目録(OPAC)データベースのことを考えてみてください。また公立図書館は無料公開制によってあらゆる人々に知へのアクセスを保障する社会装置であり、大学や学校の図書館は学習者が文献や情報を自分で調査するための各種のツールを備え付けています。最近ではインターネット上に各種の電子図書館や公開のデータベースがつくられています。こうしたものの理論構築、開発や評価は図書館情報学の仕事です。

本学の小宮山前総長は諸学がばらばらである状態に対して「知の構造化」というキャッチフレーズで相互に結びつける見方を提唱していますが、図書館情報学は最初からこれをめざした学問です。本研究室出身者で書いた入門書『図書館情報学の地平50のキーワード』(日本図書館協会)を見てもらえれば十分に理解していただけるでしょう。(根本彰教授 ー2006年図書館情報学研究室オープンラボプログラムよりー)